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トレードが得意な人ほど、「自分で運用した方がリターンが出せる」と思いがちです。
事実、**攻め(トレード)**は資産を一気に増やす“可能性”があります。しかし同時に、守り(積立・投資信託)を持たないと、相場の荒波で何年分の利益が一晩で消えるリスクもあります。
結論:“攻め+守り”の二刀流こそ、長期で資産を残す最適解。
トレードの腕前と、積立の再現性(習慣×複利×分散)は、目的が違います。どちらも必要です。
🍖🥦 栄養バランスの例え:肉(トレード)だけでは身体は作れない
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肉=トレード:即効性があり、タンパク質のように“伸びる力”をくれます。ただし脂質・刺激も強く、偏ると内臓(メンタル・リスク許容度)に負荷。
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野菜=積立・投信:派手さはないけど、**ビタミン・食物繊維(分散・時間分散・複利)**で身体(ポートフォリオ)を安定させます。
最強は“ステーキ+サラダ”。
トレードで筋肉をつけつつ、積立で基礎代謝(安定成長)を上げる。どちらか一方では健康=資産の持続性が壊れます。
「守り」を入れる3つの科学的メリット
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ボラティリティの緩和(分散)
相関の低い資産・手法を組み合わせると、ポートフォリオの上下幅が縮む=メンタルが安定→ルール遵守率が上がる。 -
時間分散の自動取得(積立)
ドルコスト平均法は、エッジが出ない相場でも機械的に買付。ピーク掴みの痛手を和らげ、トータルの再現性を高める。 -
“ゼロに近づけない層”を作る(フロア)
現金・債券・広域インデックスの積立は、ドローダウンの底を浅くし、トレード再起までの時間を短縮する。
よくある反論と、プロの回答
反論①:「年10~20%は自分で狙える。投信は年5%とかでしょ?」
回答:相場の“良い年”だけを平均しないでください。連敗・不在・体調不良も含めた実効リターンで見ると、“コア(積立)5~7%+“サテライト(攻め)”の上乗せが最終的に勝ちやすい。
反論②:「運用資金が分散されると、トレードの効率が落ちる」
回答:必要証拠金+リスク上限を定量化すれば、余剰分は積立に自動回しが合理的。攻め資金を“飢餓”にせず、同時に“守り”を育てます。
反論③:「積立は退屈」
回答:退屈=再現性です。トレードの尖った成果を、退屈な基礎の上に積むから“残る”。プロは面白さではなく合算のシャープレシオで判断します。
フレームワーク:コア&サテライト設計
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コア(守り・60~80%)
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全世界株式(インデックス)/米国株式インデックス
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投資適格債券/短期債・MMF
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金(ヘッジ)少量
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実行:毎月自動積立(ドル建て・円建てを分散)
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サテライト(攻め・20~40%)
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FX裁量/システム、個別株、テーマETF、オプション
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ルール:1回の想定損失=総資産の0.5~1.0%上限、最大ドローダウン許容=10~15%で強制リセット
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目安:守りは“生活防衛+長期の土台”、攻めは“超過リターンの源泉”。
年齢・収入・相場環境で比率は調整。
ミニケース:同じ年利でも“残る資産”が違う
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Aさん(攻め100):+30% → −25% → +15% → −20% → +10%
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4年後のトータルは**+1桁%台**に沈むことも。メンタル大消耗。
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Bさん(守り70/攻め30):守り年+5%前後が安定、攻めは同じ推移
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守りがクッションになり、回復が早い。再現性が残る。
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同じ“平均利回り”でも、ボラティリティが違うと最終資産は大きく乖離します。
実装手順(今日からできる)
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口座を分ける(用途別)
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①トレード口座 ②長期積立口座(クレカ/自動振替)
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物理的に分けると“手を出しにくく”なり、継続率が上がる。
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自動化する
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積立は完全自動。トレードの好不調に関係なく、土台が育つ。
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KPIは“合算”で見る
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月次レポートで総資産・最大DD・コア比率をチェック。
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勝っても負けても、**コア比率<60%**になったら自動補充。
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出口を先に決める
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コアは老後/教育/住宅の目的別ファンド化。
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サテライトの利益は一定比率でコアへ払い出し(例:月末評価益の30%を移す)。
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例え話でもう一度
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トレードはスプリント:瞬発力で勝ちを積む競技。
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積立はマラソン:一定の心拍で長く走る競技。
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**複合競技(トライアスロン)が強いのは、ひとつが崩れても“総合点で勝てる”**から。
あなたのゴールは「今年勝つ」ではなく、**「10年後・20年後に資産が残る」**ことのはず。
まとめ
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攻めだけ=短期で映えるが、長期で残りにくい
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守りだけ=増える速度は遅いが、確実に積み上がる
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攻め+守り=“速さ×持続性”が掛け算になり、最終資産の期待値が最大化
FX・株が得意なあなたこそ、積立という“静かなエッジ”をポートフォリオに足してください。
勝ち続ける仕組みは、派手さではなくバランスに宿ります。
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